平成26年7月10日 発信

老年看護学実習(仁心看護専門学校)

 去る5月12~15日、仁心看護専門学校の学生10名が当ホームで『老年看護学実習』 を行ない、グループホームにおける認知症高齢者への生活支援技術について学びました。
老年看護学は、主に老年期疾患について、高齢者の心身・社会経済的な変化に関する理解を深め、老年期に発症しやすい健康障害や機能障害とそれらに対する基本的な支援技術を習得するほか、老年看護学の背景となる高齢化社会における保健・医療・福祉の現状と動向を知り,医療チームの一員として多角的な視野で看護を提供するための基本姿勢を養うのが目的です。高齢者は、多様な人生経験と価値観をもった個別性の高い世代の集まりで、人生の最終段階として誰もが人生の完成を目指し、死をもって完結する時期であることを意味します。少子化や核家族化が進む現代社会の動向を受けて、高齢者と触れ合う機会が少ない学生の増加は、高齢者に対して衰退・隠居・病弱といったマイナスのイメージを持つ傾向にあるので、実習では、高齢者は人間として円熟・完成し、尊重される存在という側面と加齢によって種々の機能が低下し、心身ともに衰えていく過程にある側面を併せ持つ存在であることを教え、肯定的・積極的・活動的な視点からの「老年観」の育成を目指す必要があります。具体的には「その人らしさ」やQOL(生活の質)を尊重し、人生の最期まで人間の尊厳を保ちながら、自立した生活を送れるように対象者とその家族を支援するという生活志向を理解することが重要です。ここでいう生活志向の看護とは、高齢者が老化や疾病・障害を抱え、それがたとえ不可逆的な変化だとしても、残存機能を最大限に活かしながら、その人らしい生活を支えるという考えに基づくものです。しかし、高齢者の生活は個人では成り立たない場合が多く、身体の衰えに伴い、周囲への依存度が増していく高齢者には、家庭や地域社会で生活できる環境を整えることも必要です。また、高齢者に対し、できる限り健やかで快適に自立した日常生活が維持できるよう、疾病の予防的側面からも適切な援助を行なわなければなりません。高齢者のその人らしい生活を支えるためには、高齢者を取り巻く環境や様々な老化の段階にある多様な生活歴と価値観をもった対象であることを理解した上で、対象の個別性と自尊心に配慮した看護を実践できる能力を育んでくれることを願っています。

職場体験学習(日当山中学校)

 職場体験を通して働くことの意義や仕事に対する理解と意識を深め、職業観や職業選択の能力を養う目的で、5月20~22日に日当山中学校『職場体験学習』が行なわれました。
 今年は3年生の加茂颯太君と福丸裕也君が参加され、管理者から業務内容や社会人としての人材と資質について説明を受けたあと、炊事や洗濯、掃除などの家事援助と入居者とのコミュニケーション、車椅子体験など、認知症介護の基本について体験しました。
 こうした介護の仕事を通して、高齢者や認知症について理解を深め、高齢者の生活を支えることの難しさやコミュニケーションの大切さを体験したほか、冒頭の社会人として働くことの意義や仕事に対する理解と意識を深めたことでしょう。

映画「ペコロスの母に会いに行く」

 5月25日に霧島市地域密着型サービス事業者連合会・姶良地区医師会在宅医療推進地域支援事業・霧島市の共催による映画『ペコロスの母に会いに行く』の無料上映会が、霧島市民会館で開催されました。当日は先着1000名の定員に早くから会場に並んだ市民で混雑し、入場整理券を発行するほどの反響でした。
 「介護」や「認知症」といえば、とかく暗くて辛い、重たいイメージで語られがちですが、いざ上映が始まると会場からは思わず噴き出すような笑いが起こり、最後は自然と涙がこぼれて清々しさに満ち溢れた気分になり、家族のあり方や介護の受け止め方を再認識させられる作品でした。
 この映画のプロデューサー村上克彦さんは「この映画は決して派手な映画ではありません。爆破などの大仕掛けもありません。ただ『認知症の母を訪ねるハゲた息子』というだけの映画です。でも、全国に400万人いらっしゃるという認知症患者の皆さんを介護する数倍の数のご家族に少しでも考え方のアイデアを提案できればと思い製作しました。現実の介護がこんなに楽天的とは決して思いませんし、辛く苦しいものであることは承知しておりますが、せめて映画の中だけでも笑って、感動して、心が多少でも癒されるのであれば、それが私共のせめてもの願いであります」と述べておられます。
 まさに人が人として生きることを描いた、今までにない全く新しい介護喜劇映画でした。


 『熱中症』は、高温多湿な環境に長くいることで、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。
 屋外だけでなく、室内で何もしていないときでも発症し、救急搬送されたり、場合によっては死亡することもあります。熱中症について正しい知識を身に付け、体調の変化に気を付けるとともに、周囲にも気を配り、熱中症による健康被害を防ぎましょう。
【熱中症の症状】

  • めまい、立ちくらみ、手足のしびれ、筋肉のこわばり、頭痛
    気分が悪い、からだが熱い、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感
  • 重症になると…返事がおかしい、意識消失、けいれん

【熱中症になりやすい高齢者の主な特徴】

  • 意識(理解・認識・判断力)
    熱中症(脱水症)への理解・意識不足(病識に乏しい)
    喉の渇きが解からない ※認知症などで、喉の渇きや症状を訴えることができない
  • 感覚
    寒さには敏感だが、暑さに鈍感(発熱も鈍感)
  • 環境
    部屋を閉め切る(気密性が高い室内での生活)
  • 習慣(常習化)
    冷房が嫌い(馴染めない)
    日常的に水分摂取量が少ない(お茶を飲む程度)
    ※便秘や下痢になりやすい人は、脱水症に注意!
  • 心理
    冷房を入れない(電気代がもったいない)
    部屋を閉め切る(泥棒を警戒 = 戸締り)
    外出や夜間のトイレ(排尿)を心配して水分を控える

【熱中症の予防】

  • 暑さを避ける
    室内では…
    扇風機やエアコンで温度を調節
    遮光カーテン、すだれ、打ち水を利用
    室温をこまめに確認外出時には…
    日傘や帽子の着用
    日陰の利用、こまめな休憩
    天気のよい日は、外出を控える
  • からだの蓄熱を避ける
    通気性のよい、吸湿性・速乾性のある衣服を着用する
    保冷剤、氷、冷たいタオルなどで、からだを冷やす
  • こまめに水分を補給する
    室内、外出時や喉の渇きを感じなくても、こまめな水分・塩分を補給する

※厚生労働省ホームページ「熱中症関連情報」より一部引用

介護実習(龍桜高校)

 去る6月24日~28日の5日間、龍桜高等学校医療福祉科3年の大工美咲(みさき)さん野尻晴袈(はるか)さん・前田恵伍(けいご)さん・山之内亜衣(あい)さんの4名が当ホームで介護実習を行いました。
 グループホームでの介護実習は、認知症高齢者との会話を通じてコミュニケーションを図りながら、その言動から日常生活に影響を及ぼす短期記憶障害(もの忘れ)で精神的不安や混乱に陥ったり、老化による身体機能の衰えで活動が制限され、生活意欲がなくなるなど、精神的・社会的側面から認知症の特性を理解し、職員の業務を通して認知症ケアやグループホームが果たす役割について学ぶ基礎実習です。
 1・2号館の見学と自己紹介、管理者のオリエンテーションに続いて、現場職員から実習に必要な情報提供や介護方法、実習目標や課題に対する助言と指導を行ないました。そして、実際に入居者と接しながら、認知症に起因する行動障害にどう対応すべきかを考え、コミュニケーション技術や生活支援のあり方について学びました。
 最終日は、お世話になった入居者のみなさんに“ありがとう”の感謝の折紙メッセージを額装して 1・2号館に贈呈していただきました。

masayan 慰問ギターライブ

 7月4日にmasayanこと榎木真之さんが、ギター演奏でホームを慰問してくださいました。masayanは、地域密着型シンガーソングライターとして霧島市を中心に路上ライブやイベント活動を行なっています。また、地元ラジオ局:FMきりしま「マサヤンの本日は晴天なり」(毎週火曜日20:00~)のパーソナリティーとして活躍されているほか、同じく霧島市を中心に介護劇を公演する「たけちゃん一座」のテーマ曲を担当し、6月にCDデビューしました。アコースティックギター演奏によるハスキーボイスで語りかける詩情豊かなオリジナル曲に涙しながら手拍子したり、懐メロや童謡を合唱して、大いに盛り上がりました。
 masayan…素敵な慰問ギターライブ、ありがとうございました♪

【編集後記】
 いよいよ『サッカーワールドカップ』ブラジル大会が始まる。4年に一度のオリンピックと共に国の威信をかけたスポーツの祭典に世界が熱狂する。海洋領有権や拉致問題など、国と国との一触即発の緊張状態が続くなか、大会期間中くらいは国益を忘れ、人種を越えた応援で世界がひとつになることを願いたい。
 七夕飾りの短冊には、入居者一人ひとりの願いが込められている。「綿菓子をいっぱい食べたい」「お金が貯まりますように」「毎日ぐっすり眠れますように」 …つい笑ってしまったが、本人は真面目に切なる願いを書いたに違いない。私たちはそんな願いに応えられるよう「みんなの願いが叶いますように」と短冊を笹に託した。

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