平成25年11月20日 発信

『収集癖』 が意味する行動とは !?

 認知症高齢者の特徴的な行動障害(問題行動)のひとつに、色々な物を持ってきて集める『収集癖』がある。対象物はタオル、トイレットペーパー、石鹸、石コロ、木の枝、空き缶、ビン、新聞広告、お菓子など、多岐にわたる。
 『収集癖』を単に認知症の周辺症状として捉えるだけでは問題の本質はつかめないし、解決の糸口も見出せない。言えることは、認知症高齢者が物を集める行為にはそれなりの理由があり、それを止めさせたり、無理に取り返すことで認知症状が進行・悪化して新たな行動障害が現れる場合が多い。
 ホームにもトイレに入るたびにトイレットペーパーを部屋に持ち帰り、紙袋や引き出しの中にしまい込む入居者がいる。ある日、そっと確認するとグルグル巻きにしたトイレットペーパーの束が何十個も紙袋の中に詰め込んであった。本人はきっと持ってきたことも、しまい込んだことも忘れているだろうと考え、袋ごと回収して勝手に処分してしまった。すると「家に帰る!」と言いだし、加えて「ここには泥棒がいる!」と怒り出してしまった。もちろん、しまっていたはずのトイレットペーパーがなくなったことを指しているに違いない。また、ある入居者は注意されて以来、自分の行動を正当化するかのように手のひらやトイレの壁にマジックで「カミハトラナイ」と自ら書いて、自己防衛的手段に出た。これが本人だけの問題なら放置してもよいのだが、他の入居者から「トイレに紙がない」「あの人が盗っていく」と入居者同士のトラブルに発展しかねないだけに、職員は対応に苦慮する一方で、「病気だから仕方がない」と諦めムードが漂っている。認知症の周辺症状には受容が大切だということは、認知症ケアに携わる者として十分理解しているつもりでも、こうした失敗を犯してしまう。なぜ、トイレットペーパーを集めるのか?という基本的な疑問への考察がないまま「どうせ、しまい込んだことを忘れているだろう」という勝手な判断が間違いの元である。考えてみれば、トイレに行くたびにトイレットペーパーを持ち出す行動にどんな意味があるのか?ということだ。その意味を考える手間を省いたがために生じた問題は、まさに“問題ケア”である。
 『収集癖』でトイレットペーパーを集める高齢者は多い。どこの施設にもこうした対象者がいるという現状がある。また、収集癖は、被害妄想(物盗られ妄想)と共に決め手となる解決法がないのも事実である。失敗例で示したように、本来は使い捨てのものを大事にしまい込む例が多く、「それはみんなで使うものだから置いておきましょう」と言って一旦は理解してくれる人もいれば(それでも、あとから同じ行動を繰り返す例が多い)絶対に自分のものだから持って帰る!と譲らない人もいるし、自分はそんなことはしない!と否定する人もいる。この場合、逆らってはダメだ。素直に持ち帰っていただき、そのことを忘れる人であればあとからそっと元に戻したり、回収することも可能だが、忘れてくれない人には色々な試みが必要で、「トイレに紙がなくて困っているんですが、それを貸してもらえませんか!?」と頼むと「仕方ないねぇ」と譲ってくれる場合もあるし頑として全く聞き入れてくれない人もいる。そんな場合は、また別な対策を考えるしかない。一時的に諦めたふりをして放っておく“放置プレー”も一つの手だ。そして、紙を集める原因に思いを寄せて、なぜ集める必要があるのかを考察する必要がある。無理に取り返すことだけはしてはいけない。必ず何かの問題がそこから生じてしまうし、それらは認知症高齢者の問題行動ではなく、私たちが対応した結果の行動である。考えてみれば、今でこそトイレットペーパーは、そこら辺にある日用品かもしれないが、今のお年寄りが子供の頃や若い頃のことを考えると、それらは決していつでもどこにでもある“つまらないもの”ではなく、“高価で貴重なもの”だっただろうし、一回使っただけで捨てるのは“もったいない”と節約しているのか?今は使わなくても、いざという時のために溜め込んでいるのか?こうした高齢者が生まれ育った当時の社会や生活環境、時代背景を考えると、今のように物で満ち溢れた時代ではなく常に“いざという時の備え”が日常的に必要だったり、欲しい(必要な)ものが手に入らない時代を生きてきた世代だからこそなのかもしれない。そして、物を集める行為は、物不足への不安を解消する自己防衛の手段であり、それが身近にあることで安心しようとしている。そして、その不安の原因が「物がない」「もったいない」ということに限らず、その行為は当然かつ無意識であり、生活あるいは生きることへの不安と混乱の証でもある。私たちはそれらを理解したうえで、理屈抜きの視点で『収集癖』を捉えれば、これまでより優しい眼差しで対象者を見つめ、新たな対策も思い浮かんでくるかもしれない。意味のある行動としての『収集癖』を、その人の思いに寄 り添う立場で考える姿勢こそが認知症ケアの第一歩なのだから。

買物散歩

 11月8日は『買物散歩』に出かけました。ホームでは、屋外レクリエーション活動の一環として、気候の良い春と秋に高千穂牧場や和気公園など、近場の行楽地へバスハイクに出かけていましたが、今回、買物を兼ねた散歩に変更しました。
 当日は秋晴れの穏やかな天気に恵まれ、午前と午後の2回に分けて実施し、ホームを出発して最初の目的地であるAコープ(姫城店)に向かい、店内に入って自分の好きなおやつを選び、レジでお小遣いから支払いました。女性入居者の皆さんにとっては久々に主婦の感覚(昔とった杵柄)を発揮し、目を輝かせて買物を楽しんでいました。思い思いにおやつを買ったあとは、次の目的地である姫城中央公園まで散歩しながら移動し、早速、茶話会を開いて、買ったおやつを食べながら談笑して過ごしました。
 今回の買物散歩は、10月に開催した運営推進会議の議題「秋の行楽シーズン…どこ行きましょうか?」について論議し、入居者の高齢化に伴う介護度の重度化で、屋内では自分で歩行(移動)できる入居者も、屋外では車椅子が必要になったり、バス移動中に気分が悪くなるなど、健康や体力面の不安が恒例行事のバスハイクを難しくしていましたが、運営推進委員の皆さんからのアドバイスで、今回の買物散歩が実現しました。
 これからは、高齢化や恒例化にとらわれない、柔軟かつ気軽に実践できる新たな屋外活動として取り組んでいきたいと思います。

ハロウィン交流

 10月28日に当法人が運営する託児所「クレヨン」の幼児11名と保育士4名が魔法使いに扮して、入居者と『ハロウィン交流』を楽しみました。
 昨年に続いて2回目のハロウィン交流は、子供たちとふれ合う機会が少ない入居者にとって楽しみのひとつで、小さな手を愛おしく握りしめながら「お歳はいくつね?」「むぞかねぇ(可愛いねぇ)」と声をかけたり、抱きしめたり、目を細めながら歓迎しました。幼児や児童との世代間交流は、生きがいを失いつつある高齢者に活気を与え、子供たちもまた高齢者と日常的に触れ合うことで老化や命の尊さを知り、支える術を自然と身に付け、活力ある高齢化社会と地域社会を実現できるかもしれません。交流のご褒美にクッキーをプレゼントされると、みんな大喜び! 入居者も可愛い魔法使いの魔法にかかって癒されました。

ライフサポートプラン出前研修 (教育研修委員会主催/10月30日開催)

 介護保険制度が始まった平成12年から使用してきたケアプラン(介護計画)を平成26年度からライフサポートプラン様式に変更するのに伴い、従来のケアプランとの違いや記入方法などについて、霧島市ライフサポートワーカーの宮田友子さん(うのきデイサービス管理者)を講師にお招きして、『ライフサポートプラン出前研修』を開催しました。
 ライフサポートプランとは、小規模多機能ホームやグループホームなどの地域密着型サービスを24時間365日、個別に地域生活を支援するために、心身の状態や状況に柔軟かつ即応できる支援計画として開発され、住み慣れた地域との関わりや地域が持つ力(社会資源)を活用しながら、本人が最期まで望む暮らしが完結できる支援を目指して、霧島市が推進しています。その人の視点に立ったプラン(生活支援)のあり方を考え、その人の思いがカタチとして見えるサービスを提供することの大切さを学びました。

【編集後記】
■しばらく休止していた『本日も晴天なり』が復活!ホームで繰り広げられる認知症と向 き合い、入居者と職員の喜怒哀楽が織りなす人間模様や日常生活の様子をドキュメント タッチで鋭く切り取り、時にはユーモアを交えながらご紹介します。もし、自分や家族 が認知症になった時の予備知識として参考になれば幸いです。
■ビン詰めのジャムが開けられず、悪戦苦闘の末にドライバーでこじ開けた。ドリンク のキャップや缶詰のプルタブも同様、開けられずに指をくわえて眺めるだけ…そんな経 験をした方も多いはず。高齢者にとっては厄介な代物で難儀する。そんな高齢者に優し い、安心安全な商品づくり…何とかならないものか!?

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