老年看護学実習(加治木看護専門学校)
9月18~21日に加治木看護専門学校(姶良市)の生徒11名が当ホーム1号館で『老年看護学実習 』 を行ない、認知症の理解と高齢者の生活援助技術などについて学びました。 老年看護学は、主に老年期疾患について、高齢者の心身・社会経済的な変化に関する理解を深め、老年期に発症しやすい健康障害や機能障害とそれらに対する基本的な支援技術を習得するほか、老年看護学の背景となる高齢化社会における保健・医療・福祉の現状と動向を知り,医療チームの一員として多角的な視野で看護を提供するための基本姿勢を養うのが目的です。高齢者は、多様な人生経験と価値観をもった個別性の高い世代の集まりで、人生の最終段階として誰もが人生の完成を目指し、死をもって完結する時期であることを意味します。少子化や核家族化が進む現代社会の動向を受けて、高齢者と触れ合う機会が少ない学生の増加は、高齢者に対して衰退・隠居・病弱といったマイナスのイメージを持つ傾向にあるので、実習では、高齢者は人間として円熟・完成し尊重される存在という側面と加齢によって種々の機能が低下し、心身ともに衰えていく過程にある側面を併せ持つ存在であることを教え、肯定的・積極的・活動的な視点からの「老年観」の育成を目指す必要があります。具体的には「その人らしさ」やQOL(生活の質)を尊重し、人生の最期まで人間の尊厳を保ちながら、自立した生活を送れるように対象者とその家族を支援するという生活志向を理解することが重要です。ここでいう生活志向の看護とは、高齢者が老化や疾病・障害を抱え、それがたとえ不可逆的な変化だとしても、残存機能を最大限に活かしながら、その人らしい生活を支えるという考えに基づくものです。しかし、高齢者の生活は個人では成り立たない場合が多く、身体の衰えに伴い、周囲への依存度が増していく高齢者には、家庭や地域社会で生活できる環境を整えることも必要です。また、高齢者に対してできる限り健やかで快適に自立した日常生活が維持できるよう、疾病の予防的側面からも適切な援助を行なわなければなりません。高齢者のその人らしい生活を支えるためには、高齢者を取り巻く環境や様々な老化の段階にある多様な生活歴と価値観をもった対象であることを理解した上で、対象の個別性と自尊心に配慮した看護を実践できる能力を育んでくれることを願っています。
10月20日に姶良伊佐認知症グループホーム協議会主催の 『グループホーム レクリエーション発表会』 が、隼人農村環境改善センター(霧島市隼人町)で開催されました。 この発表会は、グループホームや認知症ケアの関係者が集い、昔なつかしい思い出を重ね合せた歌や踊り、笑いと感動あふれるグループホームのレクリエーション活動を広く一般に紹介するもので、協議会に所属するグループホームの入居者や家族、職員ほか 関係者200人余りが参加しました。
倉富修一支部長の開会挨拶に続き、姶良市蒲生町の「蒲生郷太鼓坊主」 による和太鼓演奏で開幕し、舞台発表は、のど自慢や踊り、そして 「ゆうゆう」 入居者5名と職員4名による「健康いきいき体操」を観客と一体となって共演しました。この「健康いきいき体操」は、“レクリエーションの達人” 小山恵美子さん(1号館職員)の指導で、入居者が元気に健やかな毎日を過ごせるように、車椅子に座ったままでも簡単にできる『健康体操(柔体 操)』と飲み込み(嚥下)、発音、顔の表情をよくする『表情・嚥下体操(パンダの宝物)』を組み合わせたもので、年齢とともに衰えやすい筋肉やお口や喉の機能、言葉や表情をイキイキと気分爽快にさせる体操で、グループホーム関係者に大変好評でした。
最後に、特別公演の猿まわし芸「モン太くんの愉快なショー」は、愛らしいお猿さんの竹馬や一輪車の曲芸と猿使い(調教師)とのコミカルなやり取りに会場全体が笑いと拍手に包まれ、盛会のうちに閉幕しました。小山さんほか、参加した皆さんお疲れ様でした。
行方不明者の予防対策
去る9月14日午後に1号館の入居者が外出したまま行方不明になり、捜索マニュアルに従ってホームの職員ならびに隼人温泉病院・老健「希望の里」・訪問看護ステーション居宅介護支援事業所の法人関係者とホーム周辺の半径1kmを捜索しましたが、日没と雷雲が迫っていたため、行方不明から1時間半後の17時に警察へ通報して本格的な捜索を始める直前にホームから約2km離れた場所で無事保護されました。「ゆうゆう」では、これまでにも行方不明者の捜索を行なったことはありますが、今回のように警察へ通報する事態になったのは初めてで、折りしも今年5月に霧島市内で4件の行方不明者が発生し、そのうち1件は未だ発見されていません。
私たちは今回の捜索を検証し、捜索マニュアルと緊急連絡体制を見直すとともに、予防対策として、1・2号館の各玄関にカメラとセンサーを設置することにしました。
10月20日に設置工事が行なわれ、玄関から出る直前に赤外線センサーが感知して警報器で知らせ、直後にドアを開けて出る様子を赤外線カメラが捉えてモニターに映す仕組みです。ただし、こうした予防策を講じても、警報音に慣れてしまったり、装備の電源を切ってしまっては意味がありません。装備に頼って過信せず、必ず自分の目と耳で状況を把握し、常に危険認識をもって対応することが大切です。また、警察と消防、地域住民や行政機関等と連携した徘徊模擬訓練の実施や捜索ネットワークづくりも重要で、認知症高齢者が地域で安心・安全に暮らせる街づくりにも積極的に取り組んで参ります。
ゆうゆう写真館「棚田」
日本の棚田百選に認定されている『幸田の棚田』里山の原風景が残る湧水町(旧栗野町)にあり、階段状に石を積み上げた石垣は、城の武者返し造りにも似た重厚感がある。黄金色に色づいた稲が幾重にも重なり、静かに収穫の時を待っていた。
観光名所で見物客が訪れるなか、先祖代々受け継がれた棚田を守り、生計を立てる農家のご苦労に心から敬意を表したい。
写真と文:村岡宏章
【編集後記】
毎朝クルマで通勤していると、ドライバーの無謀な運転に遭遇する。ラジオやCDに反応して笑ったり、熱唱するのはご愛嬌で、ヒゲ剃り、携帯電話、朝食はあたり前、化粧や歯みがき、更にはルームミラーを見ながらハサミで鼻毛を切る器用なドライバーもいる。ただし、一瞬の不注意で運転を誤ったら…その代償は大きい!