日本認知症グループホーム協会:鹿児島支部設立総会に出席して
全国のグループホームが加入する公益社団法人:日本認知症グループホーム協会の鹿 児島支部が6月29日に発足し、鹿児島県歴史資料センター黎明館(鹿児島市)で設立総会 が開催されました。協会は鹿児島県内34法人によって設立され 総会にはグループホー ムの運営者や管理者、職員など、関係者約80名が参加し、発起人代表で支部長に就任し た林田貴久氏(特別養護老人ホーム鹿屋長寿園:副施設長/グループホームふれあい:管 理者)が挨拶で「支部設立は、介護保険制度改定を見据えた全国組織としての基盤づくり の一環であり、防火管理や人材確保などのグループホームが抱える様々な課題に取り組 み、認知症の人たちが地域社会で健やかに安心して暮らせる(生活を支える)ために、グ ループホームの現場で働く職員や離島の事業所への研修支援を通して、認知症ケアの質 の向上につなげるほか、行政や他職能団体との交流・連携を図りながら、皆さんと共に 鹿児島県支部を作り上げていきたい」と抱負を述べ、協会への参加を呼びかけました。 当面は、鹿屋市を拠点に2012年の介護報酬改定に向けた意見集約と職員研修などの活動 に取り組む予定です。
当ホームは、鹿児島県認知症高齢者グループホーム連絡協議会に所属し、姶良・伊佐 支部で活動を行なっていますが、日本認知症グループホーム協会には加入していません。 支部役員に就任した発起人の林田貴久・田中穂積・森元美隆の3氏は、いずれもグルー プホーム連絡協議会(大隅支部)の運営を牽引し、その中心的役割を果たしてきた面々で、 姶良・伊佐支部とは互いに友好・協力関係にあり、個人的にも親交がある仲間です。 昨年のグループホーム連絡協議会脱会を機に、協議会分裂や大隅支部存続の危機がささ やかれましたが、今回の支部設立によってグループホームにおける介護サービスの質の 確保と向上、地域との協働による認知症予防から看取りまでの幅広い領域での啓発なら びに啓蒙活動の推進、グループホームの全国ネットワークづくりと情報収集ならびに情 報提供の拡大、医療・福祉・行政機関との連携による適正かつ健全な事業運営など、様 々な取り組みが期待されます。一方、グループホーム連絡協議会は、今後の運営方針や 組織力の強化など、改革推進もしくは共存共栄の道を模索していますが、まずは現在の 任意団体としての運営形態を見直し、公益法人化することが急務だと思います。更には 共にグループホーム関係者で運営する両者が不協和音で二極化することだけは避けるべ きで、それぞれが特色ある活動を独自に展開しながらも刺激し合い、相互理解と協調路 線を構築し、維持してくれることを期待するとともに、将来的に認知症ケアや地域密着 型サービス、小規模多機能がひとつの団体になることを切望します。管理者:村岡宏章
老年看護学実習(仁心看護専門学校)
去る5月17~20日、仁心看護専門学校の学生10名が当ホームで『老年期看護学実習』 を を行い、グループホームにおける認知症高齢者の支援技術について学びました。
老年看護学は、主に老年期疾患について、高齢者の心身・社会経済的な変化に関する 理解を深め、老年期に発症しやすい健康障害や機能障害とそれらに対する基本的な支援 技術を習得するほか、老年看護学の背景となる高齢化社会における保健・医療・福祉の 現状と動向を知り,医療チームの一員として多角的な視野で看護を提供するための基本 姿勢を養うのが目的です。高齢者は、多様な人生経験と価値観をもった個別性の高い世 代の集まりで、人生の最終段階として誰もが人生の完成を目指し、死をもって完結する 時期であることを意味します。少子化や核家族化が進む現代社会の動向を受けて、高齢 者と触れ合う機会が少ない学生の増加は、高齢者に対して衰退・隠居・病弱といったマ イナスのイメージを持つ傾向にあるので、実習では、高齢者は人間として円熟・完成し、 尊重される存在という側面と加齢によって種々の機能が低下し、心身ともに衰えていく 過程にある側面を併せ持つ存在であることを教え、肯定的・積極的・活動的な視点からの 「老年観」の育成を目指す必要があります。具体的には「その人らしさ」やQOL(生活の 質)を尊重し、人生の最期まで人間の尊厳を保ちながら、自立した生活を送れるように 対象者とその家族を支援するという生活志向を理解することが重要です。ここでいう生 活志向の看護とは、高齢者が老化や疾病・障害を抱え、それがたとえ不可逆的な変化だ としても、残存機能を最大限に活かしながら、その人らしい生活を支えるという考えに 基づくものです。しかし、高齢者の生活は個人では成り立たない場合が多く、身体の衰 えに伴い、周囲への依存度が増していく高齢者には、家庭や地域社会で生活できる環境 を整えることも必要です。また、高齢者に対し、できる限り健やかで快適に自立した日 常生活が維持できるよう、疾病の予防的側面からも適切な援助を行なわなければなりま せん。高齢者のその人らしい生活を支えるためには、高齢者を取り巻く環境や様々な老 化の段階にある多様な生活歴と価値観をもった対象であることを理解した上で、対象の 個別性と自尊心に配慮した看護を実践できる能力を育んでくれることを願っています。
当ホームが看護実習生を受け入れるは初めてでしたが、生徒の約半数が就労経験があ る社会人学生で、資格の必要性を感じて看護師を目指しているだけあって、実習に取り 組む姿勢は真剣そのものでした。…病める人を心で支える看護師を目指してください!
介護相談員派遣
霧島市が実施する『介護相談員派遣事業』で、介護相談員の前田富子さんと大住友代さ んが7月21日に当ホームを訪問しました。この介護相談員派遣事業は、鹿児島県介護相 談員養成研修を修了して霧島市に登録した相談員が、介護保険施設や在宅介護サービス 事業所等に出向き、利用者の話し相手や相談に応じたり、レクリエーションや行事等へ の参加を通してサービス内容や活動の実際を検証するほか、施設・事業所との意見交換 でサービス提供に関する利用者からの苦情や相談、トラブルを未然に防ぐための適切な 助言を行い、サービスの質の向上と適正化を図る目的で実施するもので、いわば利用者 とサービス事業所との橋渡し役として活動しています。
今回、ゆうゆうは初めての派遣でしたが、1号館の見学や入居者との会話、相談員に よる健康体操やゲームを通じて交流を深めたほか、入居者の視点に立ったアドバイスを いただきました。…前田さん、大住さん、ありがとうございました。
職場体験学習(鹿児島第一中学校)
7月27~29日の3日間、夏休みを利用して鹿児島第一中学校の『職場体験学習』が行な われ、3年生の瀧ケ平詩歩(しほ)さん・濵ノ園菜央(なお)さん・福原祐希(ゆうき)くん 宮島侑希(ゆき)さん・森 滉貴(こうき)くんの5名が参加しました。この職場体験学習 は、生徒が職場体験を通して働くことの意義や仕事に対する理解と意識を深め、職業観 や職業選択の能力を養うことを目的とする、いわば社会科学習の一環です。
管理者から認知症やグループホームに関する概要と業務内容の説明、社会人としての 人材や資質等についてオリエンテーションを受けたあと、介護の現場に入って調理・炊 事・洗濯・掃除などの家事援助や入居者との会話・レクリエーションによるコミュニケ ーション実習、認知症の評価テストや車椅子体験など、介護の基本について学習したほ か、車椅子の整備と清掃に 汗を流しました。介護とい う仕事を通して、お年寄り の生活を支えることの難し さやコミュニケーションの 大切さを実感したことでし ょう。…お疲れ様でした。
【編集後記】
暑中お見舞い申し上げます。 学校は夏休み。でも、なぜか子供達の姿がない。ラジオ体操で一日が始まり、「夏休み の友」もそこそこに海水浴や虫採りで真っ黒に日焼けして遊び回ったのも昔の話。 図書館や学習塾に通い、遊びはもっぱら涼を求めてゲームセンターや商業施設。変わら ないのはこの暑さだけだ。